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第三部 荒木飛呂彦の「漫画論」

---荒木先生が漫画を描く際、どの様な事を考えて取り組んでいますか?


例えば「これ、どこがおもしろいんだろう」と思う漫画も、それなりに認めたいですね。
認めるっていうか、「こうなんだろうなー」って考えながら読むっていうか。
「こういうことを描こうとして、こうなったのか」って推理する感じ。
ワケわかんないから排除、はしたくないっていうか。そういう感じはあります。

漫画に限らず映画とかでも、僕が「おもしろくないな」って感じるのは、
主人公に「前向きな動機」がないものなんですね。
例えば戦争映画でも、戦争はダメだとか否定しながら嫌だ嫌だっていいながら戦う話って、
自分的にはダメなんですよ。

そういう話を、ストーリー的に「マイナス」って僕は言ってるんですけど、
作品のスタートがゼロだとしたら、「嫌だ」っていう動機でマイナスになるんですよ。
そういうのは見てても、描いてても燃えないんですよね。
いろんな見方があるから、どっちがいいとかっていうのはないんですよ。
自分の好みっていうか。ただ僕は前向きなプラスの要素がほしいんですよね。

だけど極端な話「俺は戦争が好きだぜ!」とか、「お母さんを助けるために行くんだ!」とか、そういうプラスの要素にするものを、ストーリーに盛り込む方が絶対おもしろいなぁと
僕は思っていて。そうやって作っていきますね。


---そういった意味でも荒木先生は「人間賛歌」というのをテーマに、作品を描いているのでしょうか?


そうですね、最初に意志表示をしないと作品に迷いが生まれてしまうので。
人間賛歌っていうのは、簡単に言えば「前向きに生きよう」というか、
人間を否定する動きをあまり描かないという意味なんです。

第四部 息抜き方法

---荒木先生は、現在まで長い期間連載されていますが、アイデアに困ったりする事はありますか?


アイデアって、無くなるとかじゃないんですよ。
創作意欲が無くなるっていうことが、アイデアが無くなるっていうことなんです。
だから「描こう」と思ってさえいれば、アイデアって出てくるから、
「アイデアが無くなるかも…」とか恐れてちゃいけないんですよ。
どんどん出す、貯金しとかない、みたいな。

一番ヤバイのは「どーでもいいかな」って思うことなんですよ。
粘りがなくなるというか。本当はもっとそこでガーッといかなきゃいけないのに、
「こんなもんでいいかぁ…」とか、思っちゃう感じがね、ヤバイんですよ。


---今までにそういう経験はありましたか?


いやーなんか、疲れてくるとそういう感じになったりするんですよね。


---では、そのような時はどの様にして対処してきたのでしょうか?


僕の場合はちょっと体を使うような旅行に行ったりするんですよね。
神社巡りとか、参道を歩いたりだとか、そういった様な…修業ですかね(笑) 
一人になって見つめなおして、体を使っているとね、迷いが取れるんですよ!
不思議なんだけど。


---実際にそういう場所に修行に行っている時は、どの様な事を考えていますか?


重い荷物を持って歩いて、体を疲れさせると、色々わかってくるんですよ。
「何が必要か」っていうのが、その時わかってくるんですね。


---その時は何が必要だと思いましたか?


携帯電話は最初に捨てたくなりましたね。前に、熊野古道って所に行ったときに、
「熊野っていうくらいだから、熊が出るだろう」という事で、
編集の人に、「絶対に携帯電話を持って行って下さい!」って言われたから持って行ったん
ですけど、熊野古道は圏外だったんですよ…(笑)
重い荷物を持っていると足とかが痛くなって、そういう不要な荷物が、
どんなちょっとしたものでも、本当に嫌になってくるんですよ。
だからパンとかも持って行ったんですけど、途中でさっさと食べちゃいましたね(笑)

そういう感じになったときに、「これは要らないなぁ」とか悟るんですよ。
生きるためには要らない物が結構ありますね。
だけど、iPodは何かすごく癒されるんですよ! なんかね、音楽は良いんですよー。
なので、その時必要だったのは、水と雨具とiPodですかね(笑)



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